
瓦礫の中から希望が生まれる
私と友人は、会うことにしました。私たちは、すっかり荒れ果てた街の中心部に新しくオープンした場所について聞いたので、好奇心に駆られてそこを訪れました。私たちは通りを歩き、私たちの生活を変えてしまった、心の重荷となる大規模な破壊地域を通り過ぎました。この荒涼とした風景の中で、「どうしてこのような荒廃から美しいものが生まれるのだろう?」と私たちは考えずにはいられませんでした。
到着すると、私たちは目の前に広がる光景に畏敬の念を抱きました。瓦礫の真ん中に、私たちを押しつぶそうとするあらゆるものに抗うかのように、残骸の中で生命と精神に満ちた場所が輝いていました。中に入ると、私の目は誇りと喜びで輝きました。この場所は、絶望を希望に変えたアフマドとイスマイルという2人の兄弟が作ったものです。
戦争のあらゆる苦痛を経験したこの2人の兄弟は、自分たちの喪失感を意味のあるものに変えることを決心したのです。仕事もすべて失った後、彼らは感動的なアイデアを考案しました。それは、友人が集える場所、奪われた喜びの瞬間を取り戻すための居場所を作ることでした。彼らは想像を超える努力で、瓦礫をパレスチナの魂を映し出す芸術的な傑作に変身させたのです。
この場所の隅々に、土地、回復力、そして忘れ去られることのない豊かなパレスチナの伝統についてのストリーが語られています。友人と座っていると、味のある物が目に留まりました。それは、見事な芸術作品に作り変えられた壊れた鏡です。その上には、兄弟たちが「自由になれ」と書いていました。まるで、たとえ彼らが私たちの美しさを粉々に打ち砕いたとしても、私たちは廃墟を逞しさと強さの象徴に変えると宣言しているかのようでした。
もうひとつの印象的な事は、壁に描かれたオリーブの木の壁画です。その前に立つと、まるで私のルーツ、そして魂に深く根づいているパレスチナ人としてのアイデンティティを見つめているような気がしました。イスマイルに木の意味について尋ねると、彼は笑顔でこう答えました。「この場所はパレスチナ人のルーツを考慮して設計しました。会話、笑い、悲しみの中に常にパレスチナが存在していることをあらゆる場所で皆に思い出してほしいからです。それは、時を経ても変わらない、切っても切れない一部なのです。」
周りを見ていたら、壁に「この土地には、生きるに値するものがある」という言葉が書かれたコーナーで、私たちは、立ち止まりました。この言葉の力は私の中に深く響きました。私たちは生きるに値する人々であり、私たちを取り巻く破壊と不正義にもかかわらず生きるに値する人々です。私たちは痛みを希望に、瓦礫を美に変えることができるのです。
ここは単なる普通の場所ではありません。戦争の真っ只中からでも生命が生まれるという生きた証です。アフマドとイスマイルは単に美しい場所を作ったのではなく、パレスチナ人の逞しさの象徴を創り出しました。喜びの記憶を呼び起こし、希望は決して死なないという私の信念を新たにしました。
この場所は世界と共有する価値があります。私たちの人々は戦争中でも美を創造し、瓦礫に意味を取り戻し、無から有を生み出すことができるということをすべての人に示すためです。
破壊の中で人生は作られる
アフマドとイスマイルは、瓦礫をパレスチナ人の逞しさを伝える活気あるカフェに変えるだけでは終わりませんでした。彼らはコミュニティを支援し、希望を広めるためにもう一歩踏み出しました。カフェの隣に、彼らは新しいプロジェクトを立ち上げました。それは、快適さと創造性を育む環境の中で、学生やフリーランサーに電気とインターネットを提供する共同作業スペースです。
初めてこの空間に入ったとき、私は幸せでいっぱいでした。戦争や基本的なサービスの欠如など、私たちが暮らす厳しい状況の中で、私は真の希望の光を見つけました。これは単なるワーキングスペースではありませんでした。それは、どんなに悲惨な状況でも絶望に屈しないという、私たちの人々の逞しさの生きた証拠でした。
部屋のあちこちで、ノートパソコンの前に座り、熱心に仕事をしたり、集中して勉強したりする若い男女の姿が見えました。彼らの顔には野望と決意がにじみ出ていました。停電が頻繁に起こり、インターネットへのアクセスが限られているにもかかわらず、彼らはこの空間を世界への入り口、そして未来を形作る手段に変えました。
私が目撃したのは単なる光景ではなく、粘り強さと挑戦の姿でした。生活のあらゆる側面を脅かす絶滅戦争の真っ只中に生きるこれらの若者は、現実の犠牲者にならないことを決意しました。彼らは、勉強し、働き、夢の実現に向けて努力し、自らの手で未来を築いています。この光景は、私の中に新たな強さを目覚めさせました。どんな障害があっても前進し続けるよう私を鼓舞し、未来を追い求める決意を強めてくれました。
この場所が他と異なるのは、電気とインターネットの提供だけでなく、隅々まで満ち溢れる精神です。この場所には独特の雰囲気があり、そこに入るすべての人が、より偉大な存在の一部であると感じさせてくれます。それは、日々綴られていく抵抗の物語の1章となります。
私にとって、この場所は生活に欠かせないものになっています。ここは仕事や勉強のための空間であるだけでなく、聖域であり、不可能に打ち勝つことができるという私の信念を回復させてくれる安息の地です。破壊の真っ只中にあるこの場所で、私は、電気やインターネットから、前進し続けるための原動力となる刺激的な雰囲気まで、必要なものがすべて揃った完璧な環境を見つけました。
アフマドとイスマイルのシンプルなアイデアから始まったものが、パレスチナ人の逞しさのもう1つの象徴に成長しました。彼らはただ美しい場所を作っただけではありません。若者たちに真のサポートを提供し、教育と仕事を続けられるようにすると同時に、世界に向けて「どんな状況でも私たちはここにいて、命を創り、未来を築いている」という明確なメッセージを送りました。
この場所を訪れるたびに、エネルギーと希望が湧いてきます。ここは単なる共同作業スペースではありません。ガザの人々が痛みを希望に、破壊を美に、絶望を創造性に変えることができるという証なのです。(訳 岡戸良子)