ガザ女子学生日記

2024年12月27日(金)

2025-04-28 11:26:41
2025-05-03 21:19:40
目次

私は友人宅を訪問し、そこでしばらく一緒に過ごすことにしました。家に着くと私たちは砂に囲またシンプルで落ちついた居心地の良い雰囲気の場所に座りました。すぐに目を引いたのは、色鮮やかなバラの花でした。私は驚いて彼女に聞いてみました。「これは本当の花?」彼女は笑みを浮かべながら、「そうよ。父が戦闘中は、周りが灰色一色になるので色を添えるために植えたのよ。」と話してくれました。

 暗闇と破壊に満ちた現実の中で、このバラの花を見ると夢の様に感じました。その鮮やかな色は、最も過酷な状況でも命は再び花を咲かせることができると教えてくれているかのように、私の心に希望を呼び覚ましてくれました。私は自然に携帯電話をとり、写真をとりました

長い間私たちの生活から彩が消え、灰色と黒の一色だったので本当に色彩を見たのは久しぶりでした。

 このバラの花は単なる植物ではなく、人生にどんなことがあっても彩をもたらしてくれるというメッセージがあると思います。戦闘や荒廃の中で生きていても最も基本的な物の中に美しさを見出すことが出来るという証です。その色と美しさはどんな抑圧でもその本質を消し去ろうとしても人生には美しいことが、まだあると約束してくれているように感じるのです。

 ガザではよくあることなのですが、喜びはあまり長く続きません。平和で幸せなひと時を楽しんでいると突然、近くの地域が砲撃され埃が舞い上がり、石や破片が私たちの周りに飛んでくるのです。子どもたちや女性の叫び声が周囲に響き渡り、私はそのような時を決して忘れることが出来ません。

その時、私は、恐怖で感覚をなくしました。一瞬、死んでしまった方がましだとも思いました。私達からこんなに小さい喜びのかけらさえも奪ってしまうこのような不正義が続いていることに耐えられません。私は友人と恐怖のあまり涙がこぼれ、互いに強く抱きしめました。

 これが、ガザの日常なのです。つまり一瞬の幸せが一瞬の内に悪夢化するということです。しかし破壊が進む中で植えられたこのバラの花は、希望の象徴となり、どんなことが起きても人生は生きるに値するという証となっているのです。私たちは灰色に染まる中でも色で抵抗することが出来るのです。

 

この記事を書いた人

Sabara

Sabara(サバラ)22歳 パレスチナ・ガザ地区出身。アル・アクサ大学で英文学を勉強中。情熱的で野心家。写真撮影と読書が好き。2024年11月から日記を書き続けている。