ガザ女子学生日記

2025年2月12日(水)

2025-04-28 16:41:56
2025-05-03 20:48:22
目次

天気は穏やかで空は晴れ渡り、心から何とも言えない幸福感に浸っていました。何か良いことが待っているかのように楽観的な気分になりました。

通りに出たとたんにタクシーを直ぐ見つけたことに驚き、手を振ると止まってくれました。何もかもが疲弊しているガザの困難な状況を考えると、こんなに早く移動手段を見つけることができたのは、最近ではめったにないことです。破壊と燃料不足の影響の中で歩くことが、本当に負担になってきているのです。

私は車に乗り込み、窓際に座り運転中ずっと通りを眺めていました。まるで私の人生そのものを吸い込むように深呼吸をしました。この瞬間、私の周りの物、全てがとても美しく思えました。たとえ破壊された建物、荒れてしまった道路などからでも私の感じる喜びを奪うことは出来ないのです。

私たちは、奇跡的に破壊を免れた通り、残虐な占領に手つかずに、生き残った地域を通り過ぎたのでした。その通りはとてもきれいで、両側には緑の木々が立ち並び、夕日が空を暖かく魅惑的な色で染めていました。私は運転手に停車するよう頼みました。それは、後でまた気分が落ち込んだ時に、希望をもたらしてくれるような美しい写真を撮りたかったからでした。

私は、車から降りてわくわくしながら写真を撮り始めました。空気も新鮮で埃や煙、戦争の臭いとは全くの無縁でした。一瞬、爆弾や恐怖、荒廃から遠く離れた別世界にいるような気がしました。その瞬間、私は、まだガザは生き残っていてあらゆる破壊にも関わらず、美しくまだ存在していることを確信しました。

これがガザの生活なのです。私たちは避難しなければならないという苦悩と悲しみから喜びの瞬間を見出すことが得意です。希望というかけらを吸い込み、宝物のように大切に持ち続けることが出来るのです。この日は、永遠に私の心に刻まれる時となりました。人生は戦闘よりも強い。そしてガザの美しさは決して消し去ることが出来ないという事を改めて思い出させてくれました。

この記事を書いた人

Sabara

Sabara(サバラ)22歳 パレスチナ・ガザ地区出身。アル・アクサ大学で英文学を勉強中。情熱的で野心家。写真撮影と読書が好き。2024年11月から日記を書き続けている。