ガザ女子学生日記

2025年2月13日(木)

2025-04-28 16:44:12
2025-05-03 20:55:28
目次

静かな朝、私はずっと心待ちにしていた同じ町に住む叔父の家へと向かいました。単なる家族訪問ではありません。イスラエルの占領によって家族が引き離されそれぞれが避難を強いられた長い別離の後の喜びの再会の時なのです。

いとこたちと数か月ぶりに懐かしい家に集まることが出来ました。その家は私たちのことを小さいときから見守っており、私たち以上に私たちのことをよく知っている家です。無邪気な子ども時代を過ごしたので、家の隅々までに笑声が聞こえるようです。そしてまだ、心配なく明日がやってくることを信じていた頃、こうした環境でも私たちが夢を描いていたことを知っている家でもあるのです。

私たちはリビングルームに座りました。この場所は、街を襲った破壊から奇跡的に残ったところでした。まるで私たちと共に抵抗しているかのように、しっかりと残っていたのです。そして長い間私たちが見失った安らぎを与えてくれるかのように、再び優しく私達を包み込んでくれるようでした。

従妹が優しい満面の笑みでコーヒーを運んできてくれました。その小さいカップには繊細な赤いバラが描かれていました。まるでこの廃墟の中で命を咲かせようとしているように見えました。そのカップにそっと口をつけコーヒーを飲み始めたのですが、その味は長い間忘れかけていた温かさで包まれました。

私は、その時とても自由を感じました。ドローンの音や、爆弾の音もなく、恐怖も感じず、私たちの会話の間に笑い声が聞こえ、コーヒーの豊かな香りが空間にあふれ、久しぶりの安心感に満たされたのでした。束の間のこの時間は私にとって、人生は可能性に満ちていると感じさせてくれました。忘れかけていた基本的なことが、こうして突然に私たちにも喜びをもたらしてくれるのだと思いました。

 戦争から遠く離れた、愛と温もりと思い出に満ちあふれた別世界にいてコーヒーを楽しんでいる私がいました。このささやかで優しい瞬間が、私たちの心をゆっくりとつなぎ合わせてくれて昔に戻ったような時となりました。

 

この記事を書いた人

Sabara

Sabara(サバラ)22歳 パレスチナ・ガザ地区出身。アル・アクサ大学で英文学を勉強中。情熱的で野心家。写真撮影と読書が好き。2024年11月から日記を書き続けている。